とき子のインナートリップ
混沌 ・・・・ 泣きたい時は泣いてもいいよ
泣きたい時は泣いてもいいよ ・・・・ でも自分を信じて、明日は必ず来る
20代は悲しみと共に幕を開けた。余りにも幼すぎた私が挫折感を味わうのは当然のなりゆきだったのだろう。若くして結婚した私は長男の出産後、ときを待たずして夫の心変わりを知った。傷は深く人間不信はその極みに達し長いこと立ちあがれないでいた。足元の大地が崩れ行く、白い風が体の中を駈け抜けて、もう戻れないという喪失感。夕暮れの闇に遠く小さな灯りが浮かぶとたまらずに一人泣いたものだ。そうして私の腕の中には腹を痛めぬ子があった。すべては自分が決めたことだった。が、可愛がりたくとも可愛がれない自分に苦しみは増し、「どうしてあなたは私のお腹から出てこなかったのか」と赤子を抱いてまた泣いた。愛に飢えすっかり自信をなくした私は嫌なことも嫌とも言わず、苦しいことを苦しいとも言わず、痛いことを痛いとも言わず、自分を閉ざすことで平静を保った。どんなに苦しくとも夫の傍にいたかったのだ。
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